「知らない世界に飛び込む力」を得た―専門性を活かした提案から広がる国際的な挑戦

林マナテアさん
生命環境学群 生物学類1年次にDOJO in 台湾に参加。2026年現在、生命環境学群3年。
「DOJO in 台湾に参加したことで、知らない世界に飛び込むことへのハードルが下がりました。」
そう語るのは、生命環境学群3年の林マナテアさん。2024年度に実施されたDOJO in 台湾に参加し、三井不動産が運営する「ららぽーと」をテーマとした課題解決型プロジェクトに取り組んだ。
現在は、北極域における航海実習への参加や、カザフスタンでの多文化共修プログラムへの参加を予定するなど、国際的な学びのフィールドを次々と広げている。その原点には、DOJOでの濃密な1週間があった。
「初めての海外」が次の挑戦につながった
林さんは帰国子女として多文化環境で育ち、英語もフランス語も流暢だ。しかし、本人にとってDOJO in 台湾は「初めての海外経験」だったという。
「多文化環境には慣れていましたが、英語で専門的なプロジェクトを進める経験はありませんでした。多文化共修を通してそれができたことで、自信がつきました。」
今年の夏には、北海道大学の実習船で北極航海実習に参加する。国内各大学に加え、ハワイ大学からも学生が2名参加予定であり、多文化な共修となりそうだ。さらに、筑波大学の提供するカザフスタンでの多文化共修プログラムへの参加を予定している。
「DOJOに参加したことで、『まず飛び込んでみよう』と思えるようになりました。」

多様な価値観をつなぎ、一つの結論を導く
林さんが最も印象に残っているのは、異なるバックグラウンドを持つ学生たちと、一つの課題に向き合い続けた経験だという。
「高校時代など、これまでの国際交流では、自国の文化を紹介するような活動が多く、自分で収集した情報を一方的に伝えることがゴールでした。でも、DOJO in 台湾では違いました。異なる意見を持つメンバー同士で議論しながら、一つの提案を作り上げ、最終的な結論まで導かなければなりませんでした。」
グループ内では英語力にも差があり、林さんがメンバー間の橋渡し役を担う場面もあった。
「自分の意見と相手の意見が違う時に、どこまで自分の考えを反映させるべきか悩むこともありました。それでも、それぞれの意見を尊重しながら議論を進める経験はとても貴重でした。」
単なる語学力ではなく、多様な価値観を調整しながら合意形成を図る力。その重要性を実感したという。


専門性から生まれた「発光植物」の提案
DOJO in 台湾で取り組んだテーマは、「台湾の商業施設との差別化を図り、ららぽーとの魅力を高めるにはどうすればよいか」。生命環境学群で学ぶ林さんは、自身の専門性を活かし、施設外装に発光植物を活用するアイデアを提案した。
「世界最先端の商業施設であることを象徴的に示せるのではないかと考えました。発光植物は一般にはあまり知られていないので、生命環境分野ならではの視点だったと思います。」
最終発表では、三井不動産関係者から「非常に独創的な提案」と評価を受けた。異なる専門分野の学生が集まる多文化共修だからこそ、自分の専門知識が新たな価値として認識される経験につながった。
プロジェクトを通じて、林さんは都市や建築を見る視点にも変化が生まれたという。
「以前は建物を見ても特に意識していませんでしたが、今は空間の使い方やデザインの意味を考えるようになりました。なぜこの配置なのか、どんな意図があるのかを自然と考えるようになりました。」
専門分野である環境・生態系の視点と、企業が取り組む都市開発や空間設計の視点が結びついた瞬間だった。

社会課題を伝える場としての商業施設

現在、林さんが関心を持つテーマの一つが、日焼け止めによる海洋環境への影響だ。一部の日焼け止めにはサンゴ礁や海洋生態系に悪影響を与える成分が含まれており、ハワイなどでは規制が進んでいる。一方、日本ではまだ十分に知られているとは言えない。
「商業施設には多くの人が集まります。だからこそ、環境問題を伝えるプラットフォームとして大きな可能性があると思います。」
例えば、環境に配慮した日焼け止めに関する展示やワークショップ、啓発キャンペーンなどを施設内で展開することで、来場者の行動変容につなげることができるのではないかと考えている。
企業が持つ発信力と、学生が持つ専門知識や課題意識を掛け合わせることで、新たな社会的価値を創出できる可能性を感じている。
DOJO in 台湾で得た経験は、学生一人ひとりの成長にとどまらない。専門性、多様性、そして社会実装をつなぐ挑戦は、これからも新たな価値創造へとつながっていく。
