企業課題への挑戦がキャリアの方向性を変えた―協働で見えた新たなビジョン

柳生康博さん
総合学域群1年次にDOJO in 台湾に参加。2026年現在、メディア創生学類3年。
「DOJO in 台湾は、自分の大学生活の中でも特に大きな影響を与えた経験です。」
そう語るのは、総合学域群からメディア創生学類へと進んだ柳生康博さん。現在は3年生として学びながら、将来のキャリアについて考えを深めている。
柳生さんがDOJO in 台湾に参加したのは1年次の終わり。当時はまだ専門分野が定まっておらず、自分の将来について模索している時期だったという。台湾の学生とともに取り組んだのは、三井不動産が提示した商業施設の活性化という実社会の課題である。
実社会の課題に向き合うPBL
DOJO in 台湾では、台湾の学生と混成チームを組み、企業や地域が抱える課題に対して解決策を提案するプロジェクト型学習(PBL)に取り組んだ。
柳生さんのチームが向き合ったのは、三井不動産が提示した商業施設の活性化に関する課題だった。
学生にとって企業課題に取り組む機会は決して多くない。ましてや、異なる文化的背景や専門分野を持つ学生たちと協働しながら、実際の企業が抱える課題を考える経験は極めて貴重である。
「最初は都市計画についての知識もほとんどなく、自分に何ができるのか分かりませんでした。」
しかし、議論を重ねる中で、柳生さんは大きな気づきを得ることになる。

専門性が社会とつながることを実感
特に印象に残っているのは、同じチームの先輩の存在だった。
その先輩はメディアアートを専門としていたが、都市計画とは一見関係のないその専門性を活かし、商業施設の魅力を高めるための新たな提案を行った。
「都市計画の専門家でなくても、自分の専門性で企業課題に貢献できるんだと衝撃を受けました。」
それまで柳生さんは、専門分野は限られた領域の中で活用されるものだと考えていた。しかし、実際の社会課題は複雑であり、多様な視点や知識が求められる。だからこそ、それぞれの専門性が新たな価値を生み出すことができる。
DOJO in 台湾での経験は、「学び」と「社会」がつながる実感を与えた。そしてこの経験が、後にメディア創生学類への進学を決める一つのきっかけとなった。

企業を見る視点が変わった
DOJO in 台湾での学びは専門選択だけにとどまらない。企業を見る視点そのものが変化したという。
「企業は利益を追求する存在というイメージがありました。でも、三井不動産の課題に取り組む中で、企業が地域の活性化や人々の交流の場づくりなど、社会課題の解決にも真剣に取り組んでいることを知りました。」
商業施設は単なる買い物の場所ではなく、人々が集い、地域の魅力を発信し、新たな価値を生み出す場でもある。
実際の企業課題に触れたことで、社会の仕組みや企業の役割をより深く理解できるようになった。
企業と学生が協働するPBLには、知識の習得だけでは得られない学びがある。企業にとっては学生ならではの柔軟な発想に触れる機会となり、学生にとっては社会との接点を持ちながら学ぶ機会となる。
DOJO in 台湾は、その双方をつなぐ場として機能していた。
「企業の見方が変わりました。社会に価値を生み出していることを実感しました。」
その後、柳生さんは生産年齢人口のミスマッチという社会課題に着目し、友人とともに課題解決を目指すビジネスプロジェクトにも挑戦している。
キャリア観にも影響
現在、就職活動を見据える中で、柳生さんは企業を選ぶ際に「社会にどのような価値を生み出しているか」を重視しているという。地域の魅力を引き出し、人が集まる場を創出するデベロッパーの仕事にも関心を持っている。DOJOで商業施設やまちづくりの社会的意義に触れた経験が、その関心につながっている。

次の海外挑戦への原動力に

DOJOでの経験は海外への挑戦も後押しした。
2026年にはニュージーランドのヴィクトリア大学への交換留学を実現。「台湾で海外の学生と一緒に学んだ経験があったからこそ、もう一度海外で学びたいと思えました。」
現在も、台湾で出会った学生たちとの交流は続いている。日本と台湾を行き来しながら再会したり、オンラインで連絡を取り合ったりと、プログラム終了後も国境を越えたネットワークが育まれている。
企業が提示する実社会の課題に、多様な文化や専門性を持つ学生たちが挑むDOJO in 台湾。
柳生さんにとってその経験は、専門選択、社会課題への関心、キャリア形成、そして海外への挑戦へとつながる大きな転機となった。
