「DOJO in 台湾が私のリミッターを外した」――多文化共修が開いた新たな世界

花木絵里奈さん
社会・国際学群国際総合学類3年次にDOJO in 台湾参加。2026年時点で国際総合学類5年。
「本来の自分」を思い出したDOJO in 台湾
国際総合学類の花木絵里奈さんにとって、DOJOへの参加は単なる海外研修ではなかった。それは、自分自身の可能性を再発見し、その後の進路や生き方を大きく変える転機となった。
「DOJOが私のリミッターを外した、と言えると思います。」
そう振り返る花木さんは、現在5年生。フランス・ボルドー政治学院への1年間の交換留学を経験したため、在学期間が1年延びている。
幼少期からフランスの国際学校で育ち、多様な文化の中で過ごしてきた。一方で大学入学後は馬術部の活動に打ち込み、気づけば国際的な環境から少し離れた生活を送っていたという。
そんな中で参加したDOJO in 台湾。
「参加してみたら、やっぱり私は多文化な環境が好きなんだと気づきました。海外に出ていくこと、人と出会うことが好きだったという、本来の自分を思い出したんです。」
台湾での多文化共修が終わったのは2月。しかし帰国後すぐに次の海外経験を探し始め、わずか半年後にはフランス・ボルドー政治学院への1年間の挑戦に出発していた。
「大学が多文化共修という最初の一歩をつくってくれた。その一歩が、その後の行動のハードルを一気に下げてくれました。」
第二言語同士だからこそ学べたコミュニケーション

台湾での多文化共修では、日本と台湾の学生が英語を共通言語として議論を重ねた。しかし英語は双方にとって母語ではない。
「伝えたいニュアンスがうまく伝わらなかったり、受け取り方が違ったりすることもありました。」
それでも互いに理解しようと努力し、笑顔でコミュニケーションを重ねるうちに、その難しささえも楽しさへと変わっていった。
「完璧な英語じゃなくても、人とつながれることを実感しました。」
この経験は、言語の重要性を改めて認識するきっかけにもなった。日本語・英語・フランス語の3言語を使いながら活動する現在も、新たな言語の習得に関心を持ち続けている。
現地の声から見えた「正しさ」の問い
DOJOで取り組んだテーマは都市開発だった。三井不動産が展開するららぽーと台中や、台中市が目指すスマートシティ・グリーンシティ政策について調査を行い、現地でのインタビューや分析を重ねた。
その中で花木さんが強く感じたのは、「国際的に正しいとされる政策」と「現地で暮らす人々の実態」の間にあるギャップだった。
例えば、台中市では車やバイクに依存しないウォーカブルな都市づくりが進められていた。しかし実際には、バイクなしでは生活が成り立たない住民も少なくない。
「世界的には良いとされる政策でも、本当に現地の人たちが必要としているものなのか。そうした視点を持つようになりました。」
この問題意識は現在の卒業論文にもつながっている。研究テーマは、炭素税などの環境規制が途上国の産業や労働環境にどのような影響を与えるか。国際社会が目指す理想と、現地で生きる人々の現実との関係を分析している。

ビジネスを「現地の文脈」で考える
DOJOでは、ららぽーと台中についても議論を重ねた。
「日本で成功したモデルを、そのまま海外に持っていく必要はないのかもしれない。」
グループではインタビュー結果をもとにデータ分析を行い、地域に根ざした施設としてどのように成長できるかを検討した。
花木さんは、海外展開において重要なのは単に施設を建設することではなく、その地域の文化や生活にどう溶け込んでいくかだと感じたという。
この経験は、グローバルな事業を展開する企業が地域社会とどのように共生していくべきかを考える貴重な機会となった。
DOJO in 台湾から広がった未来

DOJO in 台湾以降、花木さんの活動は大きく広がった。
ボルドー政治学院への交換留学に加え、フランス滞在中にはシエラレオネで活動する日本のNPOの支援プログラムにも参加。帰国後もソーシャルビジネス関連のカンファレンス運営に携わり、今年はハワイで開催される日米ユースリーダープログラムにも参加予定だ。
さらにアジアパラリンピック大会の運営スタッフや、マダガスカルでの長期インターンシップへの参加も予定している。
「将来は、お金を稼ぐだけではなく、社会にインパクトを生み出せる仕事がしたいと思っています。」
花木さんにとってDOJO in 台湾の価値は、専門知識や英語力の向上だけではない。それは、自分の可能性を再発見し、新たな挑戦へ踏み出すきっかけを与えてくれたことにある。
「もしこの多文化共修に参加していなかったら、今の自分はいなかったと思います。」
企業、大学、そして海外の学生たちが共に学ぶ多文化共修は、単なる研修プログラムではない。学生一人ひとりが世界とつながり、自ら未来を切り拓くための『最初の一歩』を生み出す場なのである。

