識字と栄養の課題に取り組む「DUNONGプログラム」:フィリピンを舞台に多文化共修を実施
2026.03.24
2026年2月20日から3月1日にかけて、筑波大学の学生12名(学群・大学院の各分野)がフィリピンにてソーシャルインパクトプロジェクトに参加しました。本活動では、フィリピン大学ロスバニョス校(UPLB)と教育省(DepEd)が連携して実施する「DUNONGプログラム」に参画し、主に小学校中学年(4~6年生)の読解力向上を目的とした取り組みを学び、実践しました。
学びを支える3つの柱
DUNONGプログラムは、「子どもの学びは生活環境や健康状態と密接に関わる」という考えに基づき、以下の3つの柱で構成されています。
READ (読み書き支援)
UPLBのボランティア組織が中心となり、ラグナ州の小学校で補習授業を実施。各校で選ばれた約30名の児童に対し、約120日間にわたり週1回の読解指導を行います。


Nutri-Nurture Component (栄養支援)
空腹が学習の妨げになることに着目し、参加児童に毎日ゆで卵を提供。栄養状態の改善を通じて学習効果の向上を目指します。


TEACH-OA Component(持続可能な教育支援)
教員を対象に学校菜園の運営方法を指導。オーガニック農法による菜園は、学校の給食プログラムにも活用されます。


現地での実践と学び
活動期間中、筑波大学とUPLBの学生はこれら3つの取り組みに実際に参加しました。ロスバニョス、ベイ、ナグカルラン、サンタクルスの各地域の学校を訪問し、READプログラムの授業を実施。また、Bayog小学校では栄養支援の様子を見学し、さらに農業研究施設を訪れて持続可能な農業の取り組みについて理解を深めました。
加えて、東南アジア地域の農業・食料問題に取り組むSEARCAを訪問し、食料安全保障に関する議論を行いました。さらに、シエラマドレ山脈の森林再生活動について学び、違法伐採で損傷を受けた地域での植林活動にも参加しました。シエラマドレ山脈は、ルソン島を台風から守る重要な役割を担っています。




各活動におけるフィールドワークでは、学生たちはさまざまな関係者との意見交換を行いました。各活動終了後には、筑波大学とフィリピン大学ロスバニョス校(UPLB)の学生で構成された4つの混成チームが振り返りを行い、それぞれの観察結果や学びについて議論を深めました。
その後、一連のワークショップを通して、地域の関係者に向けた提案を作成しました。日本の教育実践と現地の取組を組み合わせたさまざまな提案が発表され、その中には、UPLB学長および学校関係者から、早期の実践・導入が期待される提案として評価されたものもありました。



筑波大学(UT)とフィリピン大学ロスバニョス校(UPLB)の学生は、DUNONGプログラムの各活動への参加を通じて得られた観察結果や気づきを共有しました。その後、それぞれの議論をもとに改善案について意見を交換し、協働で提案を作成しました。

UPLB学長 ホセ・V・カマチョ・ジュニア教授との提案ブラッシュアップワークショップでは、各チームが提案内容を発表し、学長からフィードバックを受けながら、最終発表に向けて提案内容をブラッシュアップしました。


Teams presented their proposed improvements to volunteers and officials of the participating schools for the DUNONG Program. They discussed the feasibility of implementing each proposal.
ルソン島からミンダナオ島へ ― 学びの広がり
本プログラムの学びは、ラグナ州での活動にとどまりませんでした。UPLBでの活動終了後、筑波大学(UT)の学生はミンダナオ島のダバオ・デル・ノルテ州立大学(Davao del Norte State College: DNSC)を訪問しました。現地では、筑波大学の卒業生でもあるDNSC学長のジョイ・ソロサ教授の歓迎を受け、多文化共修ワークショップに参加しました。
現在、DUNONGプログラムはルソン島を拠点としたパイロット事業として実施されています。そのため、パナボ市での活動は、異なる地域でDUNONGモデルの可能性を検討する貴重な機会となりました。筑波大学とDNSCの学生による混成チームは、ミンダナオ地域の地域資源や関係者について分析を行い、南部フィリピンの地域特性やニーズに合わせてDUNONGモデルをどのように展開できるかについて議論しました。


プログラムの終了時には、筑波大学(UT)の学生たちは単に識字教育プロジェクトに参加しただけではなく、DUNONGの理念を発信する担い手としての役割も果たしました。学生たちの活動は、地域間の連携を促進するとともに、フィリピンにおける「Learning Poverty(学習貧困)」の解決に向けた全国的な取組の基盤づくりに貢献する可能性を示しました。


学生たちは、パナボ・マングローブ森林を訪問する機会を得ました。
