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フィリピンで開催されたUC(ASEAN加盟大学コンソーシアム)サマースクールに参加しました!

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2025.10.14



東南アジア教育大臣機構 農業大学院研究センター(SEAMEO-SEARCA)は、大学コンソーシアム(University Consortium: UC)を通じて、東南アジア地域において毎年「サマースクール・プログラム」を実施しています。今年度は、筑波大学の学生が初めて「大学の国際化によるソーシャルインパクト創出支援事業(Multicultural Campus Project Toward Social Impact)」の一環として参加しました。本プログラムはセントラル・ルソン州立大学(Central Luzon State University)をホスト校として開催され、カセサート大学(Kasetsart University)、メージョー大学(Maejo University)、国立台湾大学(National Taiwan University)、ガジャマダ大学(Universitas Gadjah Mada)、プトラマレーシア大学(Universiti Putra Malaysia)、フィリピン大学ロスバニョス校(University of the Philippines Los Baños)、ブラウィジャヤ大学(Universitas Brawijaya)、東京農業大学(Tokyo University of Agriculture)、ミンダナオ州立大学(Central Mindanao University)、およびビサヤス州立大学(Visayas State University)等が参加しました。学生たちは、「適正技術(Appropriate Technology)」の授業におけるフィールド実習の一環としてプログラムに参加し、現地調査を通じて地域課題を把握し、地域社会の生活の質向上を目的とした文脈に応じた解決策の開発に取り組みました。本年度のテーマは、「リッジ・トゥ・リーフ:持続的でレジリエントな食料システムのための統合的管理(Ridge to Reef: Integrated Management for Sustainable and Resilient Food Systems)」でした。

フィールド活動(7月21日~26日)に先立ち、学生たちは「リッジ・トゥ・リーフ資源管理(Ridge-to-Reef Resource Management)」に関する一連のオンライン講義を受講しました。講義では、コミュニティ主体の森林管理、環境劣化と渦鞭毛藻、コミュニティ主体の沿岸生態系管理、そしてフィリピンにおけるリッジ・トゥ・リーフ・プログラムといったテーマが取り上げられました。


フィリピンでの活動初週(7月27日~8月3日)には、学生たちは生物多様性調査、土地利用評価、廃棄物管理の評価など、キャンパス内での資源管理評価を実施しました。第2週(8月4日~7日)には、これらの手法をサン・サルバドール島(ザンバレス州)で実践しました。学生たちは現地調査や住民への聞き取り調査をもとに「リッジ・トゥ・リーフ管理計画(Ridge-to-Reef Management Plan)」の提案を作成し、地域住民、専門家、行政関係者に向けて発表を行いました。


専攻は異なる学生たちでしたが、チームでの活動に柔軟に適応し、環境の持続可能性に関する事前知識が限られている場合でも、高い意欲をもって活動に参加しました。滞在中には、悪天候による停電を経験し、これが貴重な実践的学習の機会となりました。また、学生たちは沿岸清掃活動にも参加し、地域環境の保全に貢献しました。

活動期間を通して、学生たちは活発に学際的な議論を交わし、高い学びの成果を示しました。さらに、彼らの提案は今後、地域自治体が管理方針を策定する際に活用される予定です。


Student Report:
Nao Hosomi (細見 奈生)
筑波大学 ヒューマンバイオロジー学位プログラム2年 


はじめに

2025年7月28日から8月8日にかけて、フィリピン・セントラルルソン州立大学(CLSU)を拠点に「第9回UCサマースクール」に参加した。本プログラムは、東南アジア大学間コンソーシアム(UC)が主催し、「リッジ・トゥ・リーフ(Ridge-to-Reef)」の統合的資源管理と食料安全保障を中心テーマとして実施された。期間中には講義、フィールドワーク、人口2000人ほどのフィリピンの離島でのホームステイ、最終成果発表を行った。


活動内容の概要

講義とワークショップ

初日から「統合的病害虫管理」「土地利用評価」「リッジ・トゥ・リーフ統合管理」などの講義が行われ、農業生態系および環境管理に関する基礎的知識が提供された。これらの内容を基に、グループでの概念マッピングやディスカッションを通じて、理論を現場に応用する視点を養った。


生物多様性調査

7月30日から8月1日にかけて、CLSU内の自然公園で動植物、昆虫を対象とした生物多様性調査を行った。自身でデータを収集し、Shannon指数やSimpson指数による解析結果をグループごとに報告・発表した。大学院のこれまでの自身の専攻分野とは異なる知識が必要とされたが、専門外でも解析手法の理解を深めることができた。


サン・サルバドル島でのフィールドワーク

(人口2000人程度、本土から船で20分)にてホームステイ・フィールドワークを行った。本土のCLSUで学んだ生物多様性調査に加え、農業・漁業の現状調査、廃棄物管理の問題、気候変動に伴う生計の不安定化について、住民へのインタビューや観察を実施した。その結果、廃棄物処理の不備や農業生産性の低下が地域の食料安全保障に直結する深刻な課題として抽出された。


最終成果発表

最終日(8月8日)には、各グループが「リッジ・トゥ・リーフに基づく地域資源管理計画」を発表した。私が所属したグループは「Pamana ng Pag-asa sa San Salvador(サン・サルバドルにおける希望の遺産)」をテーマに、廃棄物管理、農業生産性向上、海洋保全、気候変動適応に関する地域主導型の提案を行った。発表では、定量的な生物多様性解析結果と現地住民の声を統合し、実践的かつ持続可能な解決策を提示した。その点が評価され、優秀発表賞を獲得した。


考察および所感

本プログラムに参加することで、従来の研究分野とは異なる視点を得ることができた。私は普段、医学・生命科学系の研究室で動物実験を主体とした研究を行っているが、今回のプログラムでは、生態系評価や地域社会における資源管理といった、より広域的かつ社会的背景を持つ課題に触れることができた。この経験を通じて、研究成果を社会に還元する上で多角的視点が不可欠であることを改めて認識した。

また、島でのホームステイ経験は、学術的活動と生活体験の両面から心に深く残る経験だった。島では電気や水道といった基盤的インフラが整っておらず、私たちが滞在した4日間は、本土からの電力ケーブルの破損により、島内は停電したままの状態だった。しかしそのような環境の中でも、住民の方々は笑顔を絶やさず、家族や地域、そして私たちまでも温かく受け入れてくれた。その姿は、都市生活における時間の流れや価値観とは異なり、強く私の心に残っている。限られた資源の中で互いを思いやりながら暮らす姿から、環境・生命・家族といった根源的な価値の大切さを再認識し、自身の研究活動においてもそれらを意識していく必要があると強く感じた。


結論

第9回UCサマースクールは、講義とフィールドワークを通じて「理論と実践の融合」を体現する学びの場であった。特に、サンサルバドル島での調査と生活体験は、食料安全保障や環境問題に関する理解を深化させると同時に、自身の研究者としての姿勢を再考するきっかけにもなった。

最後に、本プログラムを企画・運営してくださった全ての関係者に深く感謝申し上げます。また、本プログラムへの参加を快くご支援くださった入江先生、アルビン先生にも心より感謝申し上げます。


Program Highlights